野鳥撮影に挑戦してみると、小さい上に素早く動く小鳥の撮影がとても難しいことに気が付きます。お目当ての小鳥さんを探し出して画角に収めるだけでも難しいのに、さらにフォーカスまでぴったり合わせようというのは相当の慣れが必要になるものです。
しかし、2024年にもなる現在には、各メーカーから鳥の瞳を認識して自動でフォーカスを合わせる機能を搭載されたカメラが発売されています。しかも、以前は高額なカメラでしか利用できませんでしたが、現在は比較的お手頃な価格帯のカメラにも搭載されるようになりました。これを利用することで、野鳥撮影に不慣れな初心者でも玄人が撮影したかのようにフォーカスがバッチリあった写真を簡単に撮れるようになります!
本記事では、そんな野鳥撮影をより簡単に楽しくしてくれる鳥瞳AF搭載カメラのうち、手の届きやすいお手頃オススメな製品を紹介してみます!
鳥瞳AFとは?
「鳥瞳AF」とは、その名前の通りカメラが鳥の瞳を認識して自動でピントを合わせる機能です。
通常のカメラで鳥を撮影する場合、鳥の頭部の部分に手動でフォーカスを合わせてシャッターを切るという工程になりますが、小さい上にちょこまかと素早く動く小鳥に正しくフォーカスを合わせるのは難易度が非常に高いです。
こんな時、鳥瞳AFがあれば、カメラが自動的に撮りの瞳を認識して自動でピントを合わせてくれるようになります。普段の撮影を簡単にしてくれるだけではなく、これまでは正しく撮影するのが困難だった一瞬のチャンスを無駄にすること無く貴重な鳥さんの姿を収めることができるようになります!
さらに、大抵の鳥瞳AFを搭載したカメラには被写体追従機能も備えられているため、一度瞳を認識してしまえば、鳥が動いてもカメラがブレても瞳からフォーカスが外れません。これが無いと、ただでさえ大変な手動でのフォーカス合わせを、鳥さんが動いてしまう度にやり直す必要があります。
鳥瞳AF搭載カメラに一年くらい前から切り替えて利用している私としては、この機能があまりに便利すぎると感じていて、鳥瞳AFの無いカメラでどうやって野鳥撮影を行っていたのか最早わからないくらいですし、高額でももっと早く鳥瞳AF搭載カメラに切り替えておくべきだった、と若干後悔しているくらいです。
お手頃価格な鳥瞳AF搭載カメラの紹介
鳥瞳AFを搭載したカメラの中で、30万円くらいまでの比較的手に入れやすいお手頃価格のオススメ製品を5つ紹介します。フルサイズからマイクロフォーサーズまで、複数社から特色あるものを選んでみました!
a7 IV
主要な仕様
センサーサイズ | フルサイズ |
画素数 | 約3300万画素 |
画素密度 | 約3万8千画素/mm² |
最大連写速度1 | 10枚/秒 |
サイズ(幅 x 高さ x 奥行) | 約131.3mm x 96.4mm x 79.8mm |
重さ | 約658g |
税込価格 | 317,800¥ (2024/1/7 Amazon調べ) |
製品の特徴
α7 IVは、Sonyが2021年12月17日に発売したフルサイズカメラです。フラッグシップモデルのα1やα7S IIIと同じ画像処理エンジン「BIONZ XR」を搭載し、有効約3300万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを備えています
フルサイズカメラの入門的な位置付けのカメラですが、なんといっても前機種のa7 IIIからプロセッサが更新されたことにより、より複雑で便利な機能が多く搭載されています。その中の一つに鳥瞳AFが含まれています!
Sonyといえばオートフォーカスの精度・速度に定評のあるメーカーです。SEL200600Gのような手の届きやすい価格の超望遠レンズも揃っているため、野鳥撮影用のカメラで迷ったらとりあえずa7 IVを選択して後悔することはないでしょう。
価格が比較的抑えめの入門カメラなので性能自体は制限も多く、使い込んでいるうちに不満が見つかると思います。とはいえ、連写がしたくなればa1,より高画素が欲しくなればa7R Vと、ステップアップ先も十分に用意されています。こうした点も含めてa7 IVは自らの求める性能が分かり切っていない入門時に特にオススメできるカメラです!
こんな方にオススメ!
高感度に強いフルサイズカメラが欲しい
手が大きい等でゆとりのある大きめのボディが欲しい
Eマウントのレンズを使いたい
a7C II
主要な仕様
センサーサイズ | フルサイズ |
画素数 | 約3300万画素 |
画素密度(個/mm²) | 約3万8千画素/mm² |
最大連写速度1 | 10枚/秒 |
サイズ(幅 x 高さ x 奥行) | 約124.0mm × 71.1mm × 63.4mm |
重さ | 約514g |
税込価格(¥) | 266,555¥ (2024/1/7 Amazon調べ) |
製品の特徴
α7C IIは、Sonyが2023年10月13日に発売したコンパクトなフルサイズカメラです。a7 IVと同じ有効約3300万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーと、画像処理エンジン「BIONZ XR」を搭載しています。
ちょうど先ほど紹介したa7 IVをそのままコンパクトにしたようなカメラで、鳥瞳AFももちろん引き継がれています。軽量コンパクトにまとめられているため、野鳥撮影以外にも日常的に持ち運びたい、旅先に持っていきたい、という場合にも活躍できそうです!さらに、値段も一回り抑えられているため、よりお求めやすくなっています!
一方で、野鳥撮影においては握りやすくて保持しやすい大きな筐体や、設定を素早く変更するためのボタンがより多いa7 IVのほうが良いと感じられるところもいくつかあります。用途に応じてa7 IVと比較して選択してみると良いでしょう
こんな方にオススメ!
高感度に強いフルサイズカメラが欲しい
安くフルサイズカメラを入手したい
持ち運びが多いので小型軽量のカメラが欲しい
Eマウントのレンズを使いたい
EOS R7
主要な仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
センサーサイズ | APS-C |
画素数 | 約3250万画素 |
画素密度 | 約9万9千画素/mm² |
最大連写速度1 | 30枚/秒 |
サイズ(幅 x 高さ x 奥行) | 約132.0mm ×90.4mm × 91.7mm |
重さ | 約612g |
税込価格(¥) | 198,400¥ (2024/1/7 Amazon調べ) |
製品の特徴
EOS R7は、Cannonから2022年6月23日に発売されたAPS-Cカメラです。小型・軽量に仕上げられたコンパクトなボディに高精度な被写体検出エンジンを搭載した中級クラスのカメラになります。
EOS R5やEOS R6のような優れたフルサイズカメラの性能をAPS-Cのサイズにギュッと凝縮したようなカメラになります。上位の機種の優れた性能を引き継ぎつつ、センサーサイズを縮小したことで持ち運びやすいサイズとお手頃価格を実現しています。
Cannonにはより安い選択としてEOS R10もありますが、こちらは鳥瞳AFが使えるものの連写性能等の各種機能が大幅に削られています。また、逆に予算に余裕がある場合はフルサイズカメラであるEOS R6 Mark IIもオススメです。お財布と相談して適したものを選択してみましょう!
こんな方にオススメ!
出費を抑えて高性能なコスパ抜群カメラが欲しい
RFマウントのレンズを使いたい
OM-1
主要な仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
センサーサイズ | マイクロフォーサーズ |
画素数 | 約2,037万画素 |
画素密度 | 約9万画素/mm² |
最大連写速度1 | 50枚/秒 |
サイズ(幅 x 高さ x 奥行) | 約134.8mm × 91.6mm × 72.7mm |
重さ | 約511g |
税込価格 | 224,680¥ (2024/1/7 Amazon調べ) |
製品の特徴
OM-1は2022年3月18日にOMデジタルソリューションズが発売したマイクロフォーサーズのカメラです。
ここまでAPS-C, フルサイズのカメラを紹介してきましたが、OM-1はAPS-Cよりも更にコンパクトなマイクロフォーサーズのカメラになります。
センサーサイズが小さい分、カメラ全体のシステムも小型軽量で長時間扱っても体への負担が小さく済みます。フルサイズカメラ向けの望遠レンズは重くて慣れていないと扱いが大変です。そのため体力、筋力に自信のない方に特にオススメできます。その反面、高い画素密度から高感度はそこまで強くない点は注意が必要です。
機能面においても連射速度が早かったり、プリキャプチャ機能が搭載されているなど野鳥撮影で嬉しいものが盛り込まれています!特に連写については他のカメラの追随を許さず、AF/AE追従で50枚/秒で、AF/AE固定であれば120枚/秒のも凄まじい速度で撮影ができます!
総じてコスパの良いカメラに仕上がっていると感じるので、マイクロフォーサーズ規格のレンズラインナップが用途にマッチしていると感じる方にぜひ手にしていただきたい製品です!
こんな方にオススメ!
高速連写で鳥の一瞬の仕草を切り取りたい
持ち運びが多いので小型軽量のカメラが欲しい
マイクロフォーサーズマウントのレンズを使いたい
X-H2
主要な仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
センサーサイズ | APS-Cサイズ (23.5mm×15.6mm) |
画素数 | 約4020万画素 |
画素密度 | 約11万画素/mm² |
最大連写速度1 | 約20枚/秒 (1.29xクロップ) |
サイズ(幅 x 高さ x 奥行) | 136.3 x 92.9 × 84.6mm |
重さ | 約660g(バッテリーとメモリーカード含む) |
税込価格 | 264,000¥ (2024/1/7 Amazon調べ) |
製品の特徴
X-H2は2022年9月29日に富士フイルムから発売されたAPS-Cカメラです。
APS-Cながら4000万画素を超える高画素を実現しており、ただでさえ小さな小鳥の細かい羽毛をきっちり描写する必要のあるの野鳥撮影に向いています。今回紹介したカメラの中で画素密度が最も高く、緻密な描写を得意とするカメラと言えます。機能面も優秀で、プリ撮影機能が搭載されており、飛び立つ瞬間の野鳥も簡単に撮影ができます!
富士フイルムのカメラといえばフィルムシミュレーション機能です。往年のフィルムのような描写を再現することでいわゆる「エモい」写真を撮影することが出来ます。野鳥が居たという記録の写真や、ひたすらに上手く撮れた事を誇る写真ではなく、いわゆる絵としての作品として野鳥の撮影をしてみたい、という方には大変マッチしているのではないでしょうか?
こんな方にオススメ!
鳥の羽毛までハッキリ描写させたい
富士フイルムのカメラの絵作りに興味がある
Xマウントのレンズを使いたい
製品仕様のまとめ
ここまで紹介したカメラの仕様を一つの表にまとめてみました!
a7 IV | a7C II | EOS R7 | OM-1 | X-H2 | |
センサーサイズ | フルサイズ | フルサイズ | APS-C | マイクロフォーサーズ | APS-C |
画素数 | 約3300万画素 | 約3300万画素 | 約3250万画素 | 約2037万画素 | 約4020万画素 |
画素密度 | 約3万8千画素/mm² | 約3万8千画素/mm² | 約9万9千画素/mm² | 約9万画素/mm² | 約11万画素/mm² |
最大連写速度1 | 10枚/秒 | 10枚/秒 | 30枚/秒 | 50枚/秒 | 20枚/秒 (1.29xクロップ) |
サイズ(幅 x 高さ x 奥行) | 約131.3mm x 96.4mm x 79.8mm | 約124.0mm × 71.1mm × 63.4mm | 約132.0mm ×90.4mm × 91.7mm | 約134.8mm × 91.6mm × 72.7mm | 約136.3 x 92.9 × 84.6mm |
重さ | 約658g | 約514g | 約612g | 約511g | 約660g |
税込価格 | 317,800¥ (2024/1/7 Amazon調べ) | 266,555¥ (2024/1/7 Amazon調べ) | 198,400¥ (2024/1/7 Amazon調べ) | 224,680¥ (2024/1/7 Amazon調べ) | 264,000¥ (2024/1/7 Amazon調べ) |
各項目ごとに一番優れているものを赤、二番手を黄色にしています。なお、サイズについては小さいもの、画素密度は高いものの順で評価していますが、人によってサイズは大きい方が持ちやすくて良い事もありますし、画素密度は高すぎると高感度に弱いという点にご注意ください。
おわりに
本記事では鳥瞳AF搭載カメラをお求めの読者に向けて、オススメのカメラを5つ紹介させていただきました。納得の行く選択肢は見つかりましたでしょうか?本記事が充実した野鳥撮影の助けになりましたら幸いです。
記事内にも書きました通り、私自身鳥瞳AFが出来ないカメラから出来るカメラへ移行した際に、これまでの野鳥撮影の仕方が分からなくなるほどこの機能に依存してしまいました。それだけ鳥瞳AFは便利ですし、とても感動できる機能です。数年前は50万円くらいは覚悟しないと鳥瞳AF搭載カメラは入手できませんでしたが、今では20万円を切るカメラでもこの感動を味わうことが出来ます。正直に言ってしまうと下手に安いカメラを選んでしまって苦労してしまったり、貴重な野鳥さんを撮り損ねて悲しい思いをしてしまうくらいなら、少し背伸びをして鳥瞳AF搭載カメラを選んだほうが良いと思っています。それだけオススメできる機能ですので、本記事で紹介したカメラを手にし、皆様の野鳥撮影体験がより幸せになることを祈っています。
コメント